八日目の蝉は実話？きわこのその後やお詫びの言葉もありませんの意味を解説！

映画『八日目の蝉』は、不倫、誘拐、逃亡といった重いテーマを扱いながらも、多くの視聴者の心を揺さぶったヒューマンドラマです。

あまりにもリアルな人間描写と展開から、「これって実話なの？」と気になった方も多いのではないでしょうか。

また、主人公・希和子（きわこ）の「お詫びの言葉もありません」という印象的なセリフの真意や、事件後の彼女の人生も注目されています。

本記事では、実話との関係、きわこのその後、そして裁判で語られた言葉の意味をわかりやすく解説します。

映画『八日目の蝉』は実話？

『八日目の蝉』は、実際に起きた事件を直接描いた実話作品ではなく、小説家・角田光代氏が1993年12月に起こった「日野OL不倫放火殺人事件」をヒントにして執筆したフィクションです。

『八日目の蝉』の原作小説は、角田光代氏によって2005〜2006年に連載され、2007年に刊行されました。いわゆる「誘拐・逃亡・母性」をテーマにした心理的かつ人間ドラマあふれる作品です。

その発想の源泉となったのは、1993年に東京都日野市で起こった放火殺人事件です。この事件では、不倫関係にあったOLが、相手の家庭に放火し、幼児2人が焼死する悲劇が起きました。

小説では、被害者の子どもを誘拐し育てるという展開に変えられており、事件の“流れや結末”とは明確に異なります。

つまり、フィクションながら現実の事件に着想を得ることで、深い心理描写や「母性とは何か」に迫る普遍的なテーマへと昇華された作品なのです。

日野OL不倫放火殺人事件と映画『八日目の蝉』の違い！

映画『八日目の蝉』は、実際に起きた「日野OL不倫放火殺人事件」を題材にしながらも、内容や結末はまったく異なるフィクション作品です。

共通点があるため「実話なのでは？」と感じる方も多いですが、本作は角田光代さんが“母性とは何か”というテーマを描くために、実際の事件を出発点として再構築した物語です。

以下の表では、事件と映画の主な共通点と相違点を比較しています。

＼ 共通点の比較表 ／

項目	共通内容
人間関係	不倫関係にあった男女とその正妻
妊娠	不倫相手の子を妊娠するが、中絶を余儀なくされる
中絶の影響	女性は子どもを産めない体になる
精神的追い詰め	正妻からの罵倒や社会的孤立などで精神的に追い詰められる
愛情と孤独	愛する人を奪われ、居場所を失った女性の孤独がテーマの根底にある

＼ 大きな違いの比較表 ／

項目	実際の事件 （日野OL不倫放火殺人事件）	映画『八日目の蝉』
犯罪内容	不倫相手の家に放火し、2人の子どもを死亡させた	不倫相手の赤ん坊を衝動的に誘拐し、4年間育てた
動機	強い復讐心と絶望から放火	赤ん坊への母性本能からの衝動
結末	無期懲役刑が確定（現在も服役中）	懲役6年の実刑を受け出所
被害者の子どもたち	実際に命を落とした	無事に実の親元へ戻るが、心に深い傷を負う
テーマ	犯罪と報道・社会の責任	母性・贖罪・疑似家族・アイデンティティの再生

映画では、命を奪うのではなく“愛してしまった赤ん坊を守る”という選択が描かれ、観客に深い問いを投げかけます。

母性、贖罪、再生という普遍的なテーマを通じて、実話とはまた違う形で心を揺さぶる作品となっています。

実際の事件とは結末も価値観も大きく異なることを理解した上で鑑賞すると、より深い感動が得られるはずです。

映画『八日目の蝉』の原作との違い！

映画『八日目の蝉』は、角田光代さんの同名小説を原作としていますが、構成や演出に大きな違いがあり、映画ならではの手法で「母性」というテーマをより際立たせた作品になっています。

原作小説は「誘拐した側の女性・希和子」と「誘拐された少女・恵理菜（成長後）」の二人を章ごとに分けたシンプルな時系列構成。物語は主に、希和子の逃亡生活と、恵理菜が過去を辿る流れで描かれています。

一方、映画版では過去（1985年〜88年）と現在（2005年以降）を交錯させる複雑な構成を採用。

希和子と幼い恵理菜が過ごした場所に、成長した恵理菜が再び立つ描写など、“時空を越えた母娘の対話”を演出するような巧みな脚本が大きな特徴です。

また、原作では描かれなかったシーンや、簡略化されたサスペンス要素も見られます。

これは時間制限のある映画だからこそ、テーマに集中するために選択された手法です。脚本を手がけた奥寺佐渡子氏は、時系列を飛び越える構成を得意とし、映画『時をかける少女』などでも高く評価されています。

映画『八日目の蝉』のきわこのその後はどうなった？

映画のラストでは、元誘拐犯・野々宮希和子（きわこ）は懲役6年の実刑判決を受けて服役し、その後出所する人生が暗示されていますが、薫（かおる）との再会は明示されておらず、再会の可能性は読者や視聴者に委ねられています。

きわこは裁判で「4年間、子育てをする喜びを味わわせてもらったことを…感謝します」と語り、裁判長から感謝ではなく謝罪かと問われた際、「お詫びの言葉もありません」と答えます。

この言葉には単なる“反省のなさ”ではなく、「それほど深い思いで過ごした時間を後悔できない」ほど意味のある時間だったことを表す心理的深みが込められており、「謝罪よりも感謝しか出てこない」心の複雑さを示しています。

出所後、きわこはかつて薫と一緒に撮った写真を取りに、写真館を訪ねるという描写があります。

これにより、薫と過ごした日々が、きわこの心の支えとなっていたこと、それが出所後の彼女の希望になっていたことが伺えます。

一方で、直接的な再会は描かれていません。

そのことから、きわこは薫と会うことなく、遠くで静かに思いを胸に生きていく決意をしたのではないかと解釈できます。

映画『八日目の蝉』のきわこの「お詫びの言葉もありません」の意味を解説！

映画『八日目の蝉』の冒頭、裁判で希和子が口にする「お詫びの言葉もありません」というセリフには、深い謝罪と後悔の気持ちが込められており、けっして謝罪を拒否しているわけではありません。

このセリフは一見すると、冷たく謝罪を拒否しているようにも受け取られがちです。

実際、映画内でも報道記事に「謝罪なし」と書かれてしまうほどでした。しかし、原作では前後のやりとりが丁寧に描かれています。

裁判官に「具体的に謝罪したいことはありますか？」と問われた希和子はまず、「自分の愚かな行動を後悔するとともに、子育ての喜びを味わわせてもらった秋山さんに感謝したい」と述べます。

これに対し裁判官が「感謝ではなく、謝罪では？」と指摘すると、希和子は「本当に申し訳ないことをして、お詫びの言葉もありません」と答えるのです。

つまり、彼女のセリフは『「言葉では言い尽くせないほど申し訳なく思っている」という、強い謝罪の気持ちの表現』だったのです。映画ではこの前段がカットされているため、誤解を招いた可能性があります。

映画『八日目の蝉』の配信はどこで見れる？

映画『八日目の蝉』を視聴できる動画配信サイトは以下です。

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※本ページの情報は2025年8月23日時点のものです。最新の配信状況は「U-NEXT」「Amazonプライムビデオ」「DMM TV」「Hulu」「Leminoプレミアム」「Disney+」「Netflix」「FOD」「TELASA」「ABEMAプレミアム」それぞれの公式サイトにてご確認ください。

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